というのもゲルマニューム製の大出力石にはコンプリとなる石が無いので、当時のPPアンプでは
コンプリのドライブ石とのダーリントン接続とした準コンプリ回路が主流でしたが、片方は反転側と
する為にインバーテッドダーリントン接続としていて、PPなのに上下の回路が違っていました。そ
こで次に流行ったのは、ゲルマのPch素子とシリコンのNch素子を組み合わせた純コンプリ回路
でしたが、上下の素子の特性を合わせるのが難しく、時を待たずしてオールシリコン回路に代わって
行きました。という訳で手元の2SB410も2個だけで、当初はシリコンのNch素子と組み合わ
せるつもりでしたが、時代はすでにオールシリコン回路が主流になっていて、2個しかない大出力用
ゲルマ石の出番は無くなってしまいました。
ところが、直前に作った前々章のチョーク負荷式シングルFETアンプが好結果を得たので、これ
なら同じ方法でバイポーラトランジスターでも特性の良いアンプが出来るのでは、と思って今回のア
ンプ製作となりました。そのFETアンプは全段FET構成だったので、こちらも全ゲルマニューム
トランジスター構成として、今では当たり前となったシリコントランジスターアンプとの音の違いも
(有や無しか?)探ってみようと思いました。
回路としてはFETシングルアンプと同様のチョーク負荷式のシングルOTLアンプで、バイアス
方式も同様の自己バイアス方式を採用しています。ただバイポーラは入力インピーダンスが低いので
出力段はダーリントン接続として、この問題に対処しています。
という訳で、以下のような回路になりました。
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